今年最初の本の紹介です。ビジネス関係の本を紹介しようと考えたのですが、新型コロナウイルスの影響で2度目の緊急事態宣言も発令されたので、気分転換に星空に関連する本を紹介することにしました。
最高の星空を求めて。マイベストの星空は?
綺麗な星空が見たいと思っていたところに、この「ラダックの星」が目に留まりました。表紙の星空がとても綺麗で。
私がこれまでに見た綺麗だった星空は、友人に誘われて登った富士山頂上付近で夜明け前に見た星空です。ヘッドライトの明かりを消すと、今まで見たことがないほど沢山の星が見られました。独立峰で回りが樹海に囲まれて明かりがないからでしょうね。富士山に登る前は星のことは頭に無かったので、ちょっと驚きました。
あなたが見たマイベストの星空はどこですか?
また、星空を見たいと思ったのはなぜですか?
「ラダックの星」の舞台であるラダックは北インド。他のインドの地区と違い、伝統的なチベット文化を色濃く残した標高3,500mの高山地帯。ラダックは「峠の向こう」というチベット語が語源といわれています。
筆者はラダックに最高の星空を求めて、行き行く人々と出会い別れ、友人との過去に思いを馳せ、自分の内面とも向き合いながら歩き続けます。
広大な荒涼たる茶褐色の大地を歩きながら、行き交う旅人との軽快な交流もあり、生と死に向き合いながらも重苦しさを感じさせず、読み終わった後は希望も爽快感も感じました。
この本を読んだ後、ますます綺麗な星空が見たくなってしまいました。私が星を見たい理由は単純ですが、世界の広大さを感じたい、普段は見ることの出来ない星いっぱいの星空が見たいためです。新型コロナウイルスが終息したときに、どこに星を見に行こうかな?
また、本を読んで普段は意識していない亡くなった祖父母のことを思い出しました。死を受け入れるとき、何らかの区切りが人には必要なのかなとか、人との繋がりがあって人は前に進んで行けるのかもしれないと感じました。
「ノンフィクション」ですが、ちょっと幻想的に感じる個所もあり「ノンフィクション」ではない物語を読んでいる感覚になりました。「ノンフィクション」をあまり読まない方へもお勧めです。
新型コロナウイルスの影響で旅行が難しい状況ですので、紀行本が好きな方はもちろん、自分に影響を与えた人について考えたり、静かに自分の内面と向き合ったり、また表紙の星空の舞台であるラダックに興味がある方もどんな所か雰囲気を味わえるので良いかなと思います。
筆者の中村 安希さん著のユーラシア・アフリカ大陸684日、47カ国の旅の「インパラの朝」もお勧めです。「インパラの朝」は第7回開高健ノンフィクション賞受賞作。