東京2020オリンピックは8月8日(日)の閉会式で幕を閉じた。
あっという間の17日間。祭りは開催前の準備期間からワクワクしながら盛り上がって楽しいけれど、この東京五輪は違った。世界的にも新型コロナウイルスの感染が収束しない状態で、1年延期されての開催。
開催には賛否両論でどちらかといえば、日本では中止を求める声が多かったと思う。開催賛成派は声を出すのがはばかれるような雰囲気が日本を覆っていた。
五輪では、選手からは「このような状況下で東京オリンピックを開催していただきありがとうございます」と、感謝の言葉が並んだ。本当に開催出来てよかったと思う。日本人選手はもちろん自国でのオリンピックで戦いたいと何年も前からこの日に向けて努力し、準備を進めていたのだ。他の国の選手もそうだろう。それに関係スタッフ、ボランティアの方々にとっても。選手にとっても中止となれば、次のオリンピックまで8年間の期間が空くのだ。年齢的に次の大会に出場するのは厳しい選手もいるだろうし、この五輪にかけてきた努力も思いも報われなかったと思う。
無観客となったが、テレビ観戦して選手の活躍を観て、憧れや夢を抱いた若い人たちもいると思う。今回の五輪が次世代に繋がればいいな~。
レガシーとして残ったものもある。今回の五輪に向けて交通機関のバリアフリー化が進んだことだ。こちらは東京では目に見えてわかる変化だった。それから飲食店の禁煙化も進んだ。五輪が終わった後も、障害者やベビーカーを利用する子供連れの家族は便利さを享受できる。また受動喫煙の機会も減るだろう。
一方で課題も残った。五輪にかかるお金の問題。当初のコンパクト五輪は何処へやら。大会の1年延期と新型コロナウイルス対策で、東京五輪・パラリンピックの開催経費は昨年末の時点で1兆6440億円に膨らんだ。コロナは仕方ないとしても、今後残る大会施設の維持費はどうするのか。五輪は世界的なスポーツでお金が多額に集まり、これに群がる利権層にとってはやめられない美味しいイベントだと思う。五輪に限ったことじゃないけど、興行スポーツは多かれ少なかれあるだろう。一部が儲かるだけじゃなく、全体にお金が回る仕組みになればいいよね。
また、オリンピックの閉会式をちゃんと最後まで観たのは初めて。今までは開会式も閉会式も2時間以上と長いからダイジェスト版を観ていたし。
閉会式の感想は…、開会式と同じく全体的にこじんまりとした演出になり残念だった。開会式と同じくパフォーマーが踊ったり遊んだりしているのを見せられたって感じ。もっと大きく一体感のある演出は出来なかったのかな?和太鼓の演出も一人で叩くのではなく、会場は広いしもっと大人数で間隔をあけて叩けば見ごたえがあったのでは。
最後に次の開催地のパリの予告演出があったのだけど、日本とパリとの差が歴然としていた。コロナ前の過去の映像ではなかったみたいで、中継でパリの映像が流れた。映像は印象的なことが沢山あった!パリの空にアクロバット飛行でフランス国旗の青、白、赤のトリコロールカラーのスモークがみちゃくちゃ映えて綺麗。パリの街とオーケストラの音楽と音楽家たちの音楽が響き渡り、これぞパリと言う感じ。また、競技会場はパリの歴史的建物をそのまま利用するようで、ベルサイユ宮殿での馬術とかエッフェル塔下でのビーチバレーとかがあるみたいで楽しそう。また、東京五輪でのフランスの金メダリストが群衆の中の一段高い場所でマスク無しでアピール。選手の周りの群衆はマスクをしているけど密になっている。こんなの日本でやったら密だ!コロナが拡大する!の大ブーイングが起きるだろうけど、易々とやってのけたのだ、フランスは。日本との差が歴然としてびっくりしたというのが本音。演出も一体感を感じさせる映像だった。
新型コロナウイルスに関しては、日本はワクチン接種が当初出遅れたとはいえ、65歳以上の接種対象者の8割は接種済み(8月7日時点)。総人口辺りの1回目接種は45%以上(8月5日時点)で、2回目接種は32%以上。総人口当たりなので接種対象ではない人も含んでの割合でもそれなりに進んでいる。
新型コロナウイルスの7日間の新規感染者数(人口100万人あたり(2021/8/7)、データ:ジョンズ・ホプキンス大学)は、日本の716.9に対してフランス2459.9、イギリス2761.3、アメリカ2299.9。日本はデルタ株の影響等で感染は拡大しているが、仏、英、米と比較しても3、4倍は少ない。ワクチン接種により重症化は今のところ抑えらえることがCDC等のデータよりわかっているのだから、日本は日常生活を取り戻すために必要なベネフィットとリスクの議論の必要があると、パリ五輪の予告を観てより痛感させられた。
また、日本は今回、1964年の東京五輪から57年ぶり2度目のオリンピックだった。次回2024年の五輪開催地のフランスは100年ぶりの3度目でパリでの開催となる。同一国だと100年とか60年単位で開催となる。私の人生で自国開始は今回が最初で最後になるだろう。不完全燃焼感は強いけど、開催地でオリンピックを見届けることができて良かった!
今回の東京オリンピックは選手のメンタルヘルスへの問題提起や性(セクシャリティー)の多様性が大きな話題の一つとなったことも印象に残った。米国の体操選手のシモーン・バイルスさんは、自身の精神状態を理由に体操女子団体決勝で途中棄権した。2016年のリオオリンピックでは、金メダル4つと銅メダル1つを獲得して体操のスーパースターだ。また、LGBTQ(性的マイノリティー)である、と自ら公表している選手が増加。東京オリンピックに出場している選手のうち182人の選手がLGBTQであることを公表し、前回大会の3倍をはるかに上回っている。印象に残ったのが男子高飛び込みイギリス代表のトーマス・デーリー選手。今大会では、シンクロ高飛び込みで見事金メダルを獲得。その後のインタビューで苦しかった幼少期の経験を語り大会中、観客席で趣味の編み物をする姿も話題に。
今回の東京オリンピック を振り返って思うこと。
日本は多様性を認めていけるのか。大阪なおみ選手の聖火点灯は賛否両論だった。日本人選手で LGBTQ をカミングアウトしている人はとても少ない。肌の色、人種につてもまだ抵抗を感じている人は多いと思う。多様であることは自由であることだ。私は自由でありたい。
それから新型コロナの影響であらためて思ったことは、日本って閉じこもって衰退していく社会を目指したいのかな?ということ。問題点を科学的に考え、リスクとベネフィットを考え、このリスクを取ってこの利益を得ようとか議論も出来ないぐらいに同調圧力が大きく、とにかく自分ではリスクを取りたくないイコール、責任を取りたくないという意識が強いと感じる。世界との差は開くばかり。でもそれでもいいんだよね?リスクを取るぐらいなら衰退を選ぶ!たとえ貧しくなっても、将来別の感染症が流行った時にワクチンを買えなくても、開発が遅れても。ってことにも繋がり兼ねないけど。日本人以外は受け入れない!ってことも人口減に繋がり、衰退するよ。それでも良いの?
色んなことを考えたオリンピックになった。

まったねー